代官山ギャラリー
代官山駅の東口側に誕生した工芸作家を中心に取り扱うギャラリーである。
もとは一般的な木造住宅だったこともあり、既存のアルミサッシや木造在来軸組工法と付き合いつつも、オーナーが求める都心のギャラリーでありつつも周辺にはない非日常を感じさせる空間であることが課題となった。
空間は既存構造をベースに整理することでゾーニングを構成し、大きくは展示スペースと水回りで分け、事務所へと続く階段は既存位置となっている。
壁は今後の展示に対して様々な形に対応できるように下地を仕込んだ上で補修が容易な黒谷和紙で仕上げている。
床は洗い出し仕上げ、中塗り仕上げの上に顔料で染色した天井は、外部からの視線を遮るために設た太鼓貼りの障子を通して入る自然光と、色温度を抑えたベース照明の混ざり合った光が静かで穏やかな表情で空間を彩り、奥に設置した黒柿の什器が空間を引き締め統一感のあるものとする。
新陳代謝の早いこの都会の喧騒の中、変わらぬ場所として新たな記憶と時を刻む事を楽しみにしている。