JOURNAL STANDARD KYOTO 御倉町 & CAFE M
伝統に新しさを織り交ぜる
京都・烏丸三条を西に少し入った、観光・商業エリアの中心で、歴史ある町並みに佇む京町屋を改修したセレクトショップ&カフェである。
京の着物文化の中心地とも言えるこの場所で、「長く愛されるものであっても最初は常に新しい。その最初をつくり、愛着のきっかけを伝えていく」をコンセプトとした、衣食を共に提供するベイクルーズの新提案型ショップの計画だ。
ショップでは、パリで長くバイイングを続けてきたコンセプターが、その経験を生かし、海外デザイナーからのユニークなインポートアイテムを少しずつセレクト。素材やディテールにこだわり丁寧につくられた、ここにしかない商品が並ぶ。
またカフェでは、東京・南青山にあるヴィーガンレストラン「8ablish(エイタブリッシュ)」プロデュースのヴィーガンフード、オーストラリアのフードクリエイティブ、Cherie Hausler(シェリー・ハスラー)氏監修のヴィーガンスイーツ、こだわりのコーヒーやオーガニックワインを提供する。
建物は京町屋の持つ景観・構成を尊重しつつ、自然な空気感で意匠と機能を溶け込ませることを心掛けた。店内はエントランス、坪庭からカフェを通して奥庭まで見通せる配置にすることで、ショップスペースやカフェスペースから奥庭まで緩やかにつなぎ、左官や和紙、古材といった伝統・自然素材に新しい工夫を織り交ぜながら空間全体を優しく彩った。
また奥庭は、緊張感のある日本庭園とは違い、雑木林のようにおおらかで無国籍な雰囲気の構成としている。中央に据えられた舟石には「門出」の意味が込められ、水盤に緑と空を映し込む。庭の中に身を置くと四季の移ろいを五感で楽しめ、ゆったりと落ち着いた時間を過ごしてもらえるだろう。