ハタノワタル邸 改修

用途:専用住居
敷地:京都府綾部市
竣工:2020.05
和紙:ハタノワタル
左官:久住章 / 小畑裕昭
大工:榊原隆夫
電気:沼田雄一
水道:斉藤管工
照明計画:ModuleX
家具:ARIA
協働:アトリエソルト
撮影:臼井淳一

和紙職人・作家のハタノワタルさんのご自宅改修計画。
山や田畑に囲まれ、時には鹿や猪が現れるような
とてものどかな環境に建つ築100年の古民家である。

主要な仕上げになるハタノワタルさん自作の和紙の魅力が伝わるよう
ボリューム・動線を丁寧に整理し、内外共に開口の位置やサイズ等、
ただ単純に明るさだけを求めるのではなく、和紙の多様な表情を余すことなく
感じ取れる適切なあり方とは何かを模索し計画した。

また、和紙の現代の生活様式に対する可能性が伝わるよう脱衣所や浴室の窓など
一般的にはあまり考えにくい水回りにも使用している。

外壁の左官仕上げは土壁に染色を施し建物が経た時間に寄り添わせ、
かつ構成は他と違い大壁で仕上げた。 過去を継承しながらも
現代の住宅デザインにも寄せることで変わりゆく時代の流れにもに寄り添う佇まいになるよう目指した。

ご自身が生活する場でどのように魅せるか。 楮から育て、和紙へと加工、着色や商品製作、
内装施工までの全てを自らの手で行われ 素材の特徴を一番理解されている
ハタノワタルさんならではの空間になるよう家自体は素直に構成した。

築100年の古民家らしい部分を残しながらも
今までにはない新たな空気感が追加されたこの家は
またこれから愛着をもって育てていってもらえるのではないかと期待している。