出町柳の家
京都市左京区、鴨川沿いにあるヴィンテージマンションの一室の改修計画である。
施主は30代後半の新婚夫婦で、コロナの影響でリモートワーク中心の生活に変わったことを受けオフィス以上に仕事に集中することができる環境を確保すること、かつ新たに始まる2人の暮らしと仕事を1つの住居の中で無理なく両立できることを求められた。
竣工当時の質感の痕跡をこの住宅の象徴として意匠に利用し、その力強い表情の躯体にリンクした中央のモルタル仕上げの壁によって部屋を区分、その壁の開口や作り付け家具、キッチンカウンターの役割によって緩やかに分かれた領域の居場所を作っている。
外部に対してはフロストガラスで柔らかい光のみを奥まで取り込み、意識を屋内のみへと向けている。
コロナ禍に夫婦となり生活スタイルも変化したばかりの2人が、自宅にいる時間を楽しめるよう居心地の良い空間作りを心がけた。