atelier chéri+m

用途:Patisserie
敷地:兵庫県神戸市東灘区
竣工:2018.10
家具:秋友家具制作室
左官:奥野左官
カーテン:fabricscape
恊働:アトリエソルト(藤原洋司)
写真:臼井淳一
兵庫県神戸市東灘区、車と人の通りが多い国道2号線沿の
レトロな集合住宅の1階にある小さなパティスリー。

今回、デザインを構築するにあたり、一階路面と人通り・車等の視認性を考慮して
業態と世界観が一目見て認知できるファサードを模索した。

また、オーナーパティシエが自ら販売にも立つ為、
店の状況が常に把握できるよう厨房スペースと販売スペースの視線を分断せず、
かつ商品の美しさを引き立てる上品な店内デザインが求められた。

人がパティスリーに足を踏み入れる時とはどういう時なのか。
お誕生日、クリスマス、誰かへのギフトや自分へのご褒美…
スィーツを見る前から甘い香りを楽しみに店先に立つのではないか。

その瞬間から小さな箱を手に店を出るまでの限られた時間に、
気持ちをより盛り上げてもらえるようなお店をテーマにデザインした。

ファサードの顔となる入り口のドアは繊細な線のアイアン枠のガラス扉。
閉店時に閉めるカーテンはしっとりとした手触りのやや透け感のある素材に。
開店時にも畳みしろが扉に重なり落ち着いたブルーが映えるよう計算した。

ファサードから引き継いだテイストのディテールが施された木製カウンターは
レジからショーケース、陳列棚を兼ねたL字の一体物にすることで
コンパクトな店内に機能と世界観を違和感なく共存させた。

また、それらを引き立てる受け皿として人の手仕事が感じられる
左官仕上げで壁・床・天井を統一したシンプルな仕上げとして施した。

オーナーパティシエが創り出すスィーツの魅力と同じように
派手な演出に頼るのではなく職人的なこだわりを感じさせるデザイン手法が
この店の世界観にふさわしいと思ったからだ。

訪れる人それぞれのストーリーに沿いつつ
オーナーパティシエの拘りを空間でも感じさせる店舗に仕上げた。