聖護院の家

用途:専用住居
敷地:京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町
竣工:2024.10
施工:丸忠アーキビルド
照明計画:ModuleX
和紙:ハタノワタル
外構:楓景
写真:臼井淳一

本プロジェクトは、店舗付き住宅という特徴に加え、建物内に立派な神殿を備えた、非常にユニークな構成となっています。この神殿は、先々代のお祖母様が神事を執り行われていた広い一室に設けられ、現在も信者の方々によって大切に守られています。祀られているのは、関西で広く知られる神社の神様であり、建物全体が地域と深い結びつきを持つ存在です。

私たちにとって「神様に関わるお仕事」は、伊勢神宮総代を務められた方の住宅に続く貴重な機会となりました。この建物は、長年にわたり住まい手のみならず、地域の方々や信者の皆さまにも愛され続けてきた歴史ある場所です。

設計においては、建物の用途や背景を深く尊重しながら、現代の暮らしに調和する温もりある空間を目指しました。仕上げでは、左官仕上げを中心に、もともと使用されていた素材感を活かしながら、光を柔らかく内包する表現を追求しました。開口部を最大限に活かし、自然光が室内を彩り、時間とともに移ろう光の表情が空間に豊かな奥行きをもたらします。これにより、温かみと静けさが調和した、居心地の良い空間が生まれました。

庭についても、不必要な要素を取り除き、元々の魅力を丁寧に再現することで、建物との調和を重視しました。整えられた庭は空間に安らぎを与え、静けさを引き立てています。

お施主様のご希望に寄り添い、子育てや日々の生活がしやすい快適な環境づくりを実現しました。歴史を受け継ぎながら、次の世代へと繋がる新たな暮らしの場を創り上げています。